少子高齢化が進んでいる日本では、人材をいかにして確保するかが企業にとって大きな課題となりつつあります。そうしたなか、日本人の労働力不足を補う存在として期待されているのが外国人労働者です。現在、人材派遣業界においても、外国人労働者を登録、派遣するというケースが増えつつあります。そこで今回は、外国人労働者を派遣することの効果と注意点について解説します。
外国人労働者を派遣することで人材難が解決する
株式会社帝国データバンクが行ったアンケート調査(全国9,775社から有効回答、2019年4月15~30日実施)によると、日本企業において正社員が不足している企業は50.3%、非正社員が不足している企業は31.8%に及び、多くの企業で人手不足が深刻化しつつあります。[注1]
こうした事態が生じる最大の要因が少子高齢化の進展です。内閣府「平成30年版高齢社会白書」によれば、日本の総人口は少子化の進展により2011年以降毎年減少しており、経済を支える15~64歳の人口は、2010年時点では8,103万人でしたが、2020年には7,406万人とたった10年間で約700万人も減少すると予想されています。[注2]日本企業における人材難が今後さらに進展するのは確実といえるでしょう。
そうしたなか、日本企業の人材難を解決すると期待されているのが外国人労働者です。厚生労働省によると、日本で働く外国人労働者数は平成30年10月末時点で昨年から14.2%増の約146万人に上っています。[注3]
特に近年注目されているのが、外国人労働者の派遣業務です。現行制度では労働者派遣事業において外国人労働者を活用することができるため、人手不足を急ぎ解決したい企業を対象に、外国人労働者の派遣が行われるケースが増えています。
外国人労働者を派遣する場合の注意点3選
事業者が外国人労働者を派遣する場合には、次のことに注意する必要もあります。
・1. 在留カードの提示を求めて在留資格を確認する必要がある
労働者派遣事業において外国人労働者を派遣する場合、最も重要なのが本人の在留資格を確認することです。外国人が就業できる業務は在留資格によって区分けされており、その資格以外の業務を行うことはできません。口頭での確認だけでなく、在留カードの提示を求めて在留資格を確認する必要があります。
・2. 外国人労働者にも日本の労働関係法令が適用される
日本国内で就労する場合は、原則として国籍を問わず、労働基準法や最低賃金法、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法などが適用されます。派遣先の事業者が、法令順守で外国人労働者を雇用しようとしているのか確認することが重要です。
・3. 「外国人雇用状況届出」をハローワークに届け出る必要性
雇用対策法では、全ての事業主は外国人(特別永住者以外)の雇い入れ、離職の際に、毎回「外国人雇用状況届出」をハローワークに提出する必要があります。登録型派遣の場合は、派遣先が決まって雇用関係が発生するたびに届け出なければなりませんが、届け出を行うのは雇用主である派遣元の事業者です。
外国人労働者を派遣する場合は在留資格や派遣先についての確認などが必要
外国人労働者は日本企業の人材難を解消するうえで重要な役割を果たしつつあり、派遣労働者としての活躍も期待されています。ただし、外国人労働者を派遣する場合、在留資格の確認、派遣先で各種労働法規が守られているかどうかの確認、外国人雇用状況届出の提出が必要です。
[注1]帝国データバンク:人手不足に対する企業の動向調査(2019年4月)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190506.html
[注2]内閣府:平成30年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_1.html
[注3]厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03337.html
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